ペトロラタム被覆工法

ペトロラタム被覆工法詳細

1. 概要

本工法は、簡易な素地調整で長期間の防食を達成できることが特長の一つであり、被覆材は、ペトロラタム系防食材による防食層と保護カバーによる保護層で構成されます。

ペトロラタムは、撥水性および電気絶縁性等の特徴を有する石油ワックスであり、防食対象物の表面に一定の厚さで被覆することによって外部環境からの腐食因子(水や酸素)の遮断を図ることができます。また、保護カバーは内部の防食材を保護する役割があり、樹脂製と金属製の製品があります。

樹脂製の保護カバー
樹脂製の保護カバー
保護カバー裏面に貼り付けられたペトロラタム系防食材と塗布された防食ペースト
保護カバー裏面に貼り付けられたペトロラタム系防食材と塗布された防食ペースト

2. 適用範囲と適用鋼材

ペトロラタム被覆工法の適用範囲及び適用鋼材は以下の通りです。

適用範囲:海上大気中,飛沫帯,干満帯,海水中,海底土中(適用実績は少ない)
適用鋼材:鋼管杭,鋼矢板,鋼管矢板,その他

3. 施工

素地調整(ISO St2)後にペトロラタム系防食材を被覆し、保護カバーを取り付け、最終的に端部をシールします。なお、防食ペーストと保護カバーを分けて施工する方式を「分離施工方式」、防食ペーストを保護カバーに塗布した状態で施工する方式を「一体施工方式」と呼びます。また、対象鋼材により保護カバーの固定方法が異なり、タイプ別に分類されています。施工方式および保護カバーの固定方法による呼び方を下の表に示します。

対象鋼材 施工方式による分類 保護カバーの固定方法による分類
タイプ 材質
鋼管杭
その他鋼材
分離施工方式 フランジタイプ
フランジレスタイプ
現場積層タイプ
樹脂
耐食性金属
鋼矢板
鋼管矢板
その他鋼材
分離施工方式 スタッドボルトタイプ
現場積層タイプ
樹脂
一体施工方式 樹脂
耐食性金属

フランジタイプ・フランジレスタイプ

ステンレスボルト・ナットで保護カバーのフランジ部を締め付ける方法(フランジタイプ)、保護カバーをラップさせ、リベットで固定する方法(フラン ジレスタイプ)がありますが、チタンカバーのように溶接や鞘管挿入を採用している方法もあります。なお、カバーの下端には、ずれ・落下防止のための金具を 取り付けます。主に鋼管杭に適用されます。

フランジタイプ・フランジレスタイプ

スタッドボルトタイプ

鋼矢板の場合、スタッドボルトを溶接した取付金具(主に帯鋼や平鋼)を鋼材に溶接し、カバーを装着した後、ナット締めする方法です(スタッドボルトタイプ)。鋼管矢板の場合は、ステンレスボルト・ナット(あるいはリベット)及びスタッドボルトで固定する複合的な方法になります。

スタッドボルトタイプ< スタッドボルトタイプ<

現場積層タイプ

形状の複雑な鋼材に対し、現場でガラス繊維と樹脂を交互に重ねて保護カバーを形成させる方法です。

現場積層タイプ

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ペトロラタム被覆工法
防食・補修工法研究会