鋼材の防食の必要性

1.腐食プロフィールと腐食速度

港湾鋼構造物が設置される腐食環境は概ね以下の6つのゾーンに区分されます。

①海上大気中 ②飛沫帯 ③干満帯 ④海水中 ⑤海底土中部 ⑥背面土中部

背面土中部を除く5つのゾーンは、深さ方向の区分であり、深さと腐食速度の相関は下図のような特徴的な曲線を示します(鋼管杭の場合)。この図を一般的に、腐食プロフィールと呼びます。

港湾鋼構造物(鋼管杭)の腐食プロフィール
港湾鋼構造物(鋼管杭)の腐食プロフィール

この腐食プロフィールが示す通り、無防食の場合の腐食速度は、飛沫帯が最も大きく、次に平均干潮面(M.L.W.L.)直下の腐食が大きくなります。
この図のように平均的な腐食傾向に従えば、時間の経過と共に、ゾーンごとの腐食速度で腐食が進行していくので、これらの腐食傾向に基づいた対策を事前に講じやすいといえます。

ところが、比較的短期間の内に施設に大きな被害を及ぼす腐食形態が知られており、「集中腐食」と呼ばれています。集中腐食は平均干潮面直下に発生する場合が多く、通常の腐食速度が最も大きい飛沫帯よりも激しい腐食傾向を示す場合があるので、施設の維持管理において、その発生予測および事前対策が非常に重要となります。


TOP >鋼材の防食の必要性 >1.腐食プロフィールと腐食速度
鋼材の防食の必要性
防食・補修工法研究会