鋼材の防食の必要性

5.防食工法の組み合わせ

かつては、腐食による減厚量を予測して鋼材の肉厚を予め増しておく「腐食しろ」という概念がありましたが、腐食の進行が速い集中腐食やサンドエロージョンなどには対応できません。

現在では、「腐食しろ」は耐用期間が短い仮設構造物にのみ適用され、それ以外の構造物には適切な防食対策を講じる必要があります。

防食の方法は大きく分けて2種類あり、それぞれの以下のような特長があります。

被覆防食工法

腐食反応に必要な水・酸素等の腐食因子を被覆材で物理的に遮断します。

  • 一般的には海上大気中~海水中が適用範囲です。
  • 各種条件に適した様々な工法が存在します。
  • 中長期の防食が可能です。

電気防食工法

腐食電流に打ち勝つ防食電流を外部から流し、鉄のイオン化を防ぎます。

  • 一般的には干満帯~海底土中が適用範囲です。
  • サンドエロージョンのような摩耗を伴うような腐食にも効果があります。
  • 長期の防食が可能です。

こうした各防食方法の特長を踏まえ、腐食プロフィールや使用環境・条件を考慮して、防食工法を効果的に組み合わせます。

港湾鋼構造物の腐食環境と適用防食法
港湾鋼構造物の腐食環境と適用防食法

上図のAタイプは、集中腐食を起こしやすい範囲(M.L.W.L.~L.W.L.-1.0m)間を、被覆防食と電気防食を併用して防食する方法であり、最も一般的です。


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鋼材の防食の必要性
防食・補修工法研究会